[ロンドン 23日 ロイター] – 英老舗旅行代理店トーマス・クック(TCG.L)が23日、経営破綻した。中国企業と生き残りの道を探っていたが断念し、清算することになった。
トーマス・クックは、1841年創業の世界で最も古い旅行代理店。パック旅行、団体旅行の先駆けとなり、16カ国でホテルやリゾートを展開し、航空会社も運営する。
しかし、オンライン旅行会社の台頭による競争激化、観光に影響を及ぼす地政学的要因で17億ポンド(21億ドル)の債務を抱え、経営危機に陥った。
8月に中国の復星旅遊文化集団(1992.HK)と9億ポンドの救済策で合意したが、その後、さらに必要となった2億ポンドの資金調達を巡る銀行との交渉が不調のまま終了。英政府も長期的な見通しがないと判断し、公的支援を拒否した。
トーマス・クック第2位の株主であるトルコの実業家Neset Kockar氏は、同社が全体または部分的に売却されると述べた。
ピーター・ファンコーサー最高経営責任者(CEO)は「数百万人の顧客、数千人の社員、長年支えてくれた取引先に謝罪する」とする声明を発表した。
トーマス・クック航空は全便が運航を停止。旅先で足止め状態となった15万人以上の英国人観光客について、英政府が帰りの便を手配し、今後2週間かけて帰国させる計画。
同社を利用する海外旅行客は現在約60万人に上り、ギリシャでは約5万人、北欧では約3万5000人が滞在。このほか、メキシコのカンクンやキューバなどへの旅行客も帰国に各国政府や保険会社の支援が必要になっている。
ジョンソン首相は、非常に困難な状況で旅行客のことを心配しているとした上で、「帰国に向けて最善を尽くす」と述べた。
トーマス・クックのドイツ航空子会社、コンドル航空によると、英帰国便の予約者は24万人。同社は今のところ運航を継続しているが、独政府につなぎ融資を申請した。