【ベルリン時事】オーストリアで29日、国民議会(下院、定数183)解散を受けた総選挙が行われ、第1党の中道右派・国民党が勝利を確実にした。内閣不信任で辞任した33歳のクルツ前首相が、難局を克服して返り咲くことになりそうだ。
一方、前政権の連立与党で、不祥事によって政権を崩壊させた極右・自由党は大敗した。勢いが目立つ極右政党の一つだった自由党の失速は、欧州各国のポピュリズム(大衆迎合)政党にとっても手痛い結果だ。
クルツ氏が自由党との連立を継続するかは不透明。親ロシアの同党と再び手を組むかは「西欧とロシアの橋渡し役」を担ってきたオーストリアの外交政策に影響を与える可能性もある。
クルツ氏は29日、開票を受けて「歴史的な日だ」と勝利宣言した。29日夜時点の暫定結果によると、得票率は国民党が38.4%(前回2017年から6.9ポイント増)、自由党が17.3%(同8.7ポイント減)。一方で、緑の党が12.4%(同8.6%増)と躍進した。