アメリカのトランプ大統領がバイデン前副大統領をめぐる不正がないか調べるようウクライナに圧力をかけたとされる疑惑で、かつてウクライナの検察トップを務めた男性がNHKのインタビューに応じました。この元検察トップは、バイデン氏はみずからの息子にも捜査の手が及ぶことを恐れ、当時の検事総長の解任を求め、その後、10億ドルの支援がアメリカから行われたと証言しバイデン氏側の対応に問題があったという認識を示しました。
アメリカのトランプ大統領はことし7月、ウクライナのゼレンスキー大統領と行った電話会談で、バイデン前副大統領の息子が役員を務めたウクライナ企業の汚職事件について調べるよう圧力をかけた疑いが持たれています。
ウクライナの検事総長代理を務めたユーリー・セブルク氏が2日、NHKのインタビューに応じました。
このなかでセブルク氏は当時、検察はバイデン氏の息子とは別の人物を捜査対象にしていたとする一方「捜査の過程でバイデン氏の息子が会社にいることがわかることを恐れた人がいた」と述べ、バイデン氏がみずからの息子にも捜査の手が及ぶことを恐れていたと指摘しました。
そのうえでセブルク氏は、バイデン氏は2015年12月にウクライナを訪れ、ポロシェンコ大統領に対してバイデン氏の息子の会社の事件捜査を指揮していた検事総長の解任を求めたと明らかにしたうえで「バイデン氏がウクライナを離れた直後、ポロシェンコ大統領は検事総長に対して『あなたの世間の評判が悪い』という理由を告げて辞任を促した」と証言しました。
セブルク氏は「検事総長の解任後、アメリカから10億ドルの支援が行われた」と述べ、検事総長の辞任の背景にはバイデン氏側からの圧力など問題があったという認識を示しました。
今回の元検察トップの証言は、バイデン氏側にこそ問題があったとするトランプ大統領の主張に沿う内容となっています。
バイデン前副大統領 疑惑を完全に否定
これに対してバイデン前副大統領は、訪問先のラスベガスで2日「疑惑を裏付ける証拠は全くない。ゼロだ」と強調し、みずからの疑惑を完全に否定しました。
そのうえで「問題はトランプ大統領だ。彼以外、誰も私が悪いことをしたとは主張していない」と述べ、ウクライナの大統領に圧力をかけたとされるトランプ大統領の疑惑こそ問題だと主張しました。