5日、スウェーデンの首都ストックホルムの北朝鮮大使館前で声明を読み上げる北朝鮮の金明吉巡回大使(ロイター時事)
5日、スウェーデンの首都ストックホルムの北朝鮮大使館前で声明を読み上げる北朝鮮の金明吉巡回大使(ロイター時事)

 【ワシントン、ソウル時事】北朝鮮の非核化をめぐりスウェーデンの首都ストックホルム近郊で行われた米朝実務協議について、北朝鮮首席代表の金明吉巡回大使は5日、「協議はわれわれの期待に応えられず、決裂した」と主張した。これに対し米国務省のオルタガス報道官は「協議内容を反映していない」と反論し、良い議論を交わしたと強調。双方の立場の隔たりが露呈し、約7カ月ぶりの米朝協議は再び停滞する見通しが強まった。

米朝、非核化で実務協議=2月のハノイ会談以来-ストックホルム

 米朝は5日午前、ストックホルム近郊で実務協議を開始。約8時間半にわたり話し合いが行われ、終了後の午後6時半ごろ、金明吉氏が北朝鮮大使館前で声明を発表した。

 ロイター通信などが報じた声明によると、金明吉氏は「決裂」の理由について、「米国が旧態依然の立場と態度を捨てられなかったからだ」と主張。物別れに終わった2月のハノイでの米朝首脳会談以降、再考の時間を十分に与えたにもかかわらず「米国は手ぶらで協議に出てきた」と不満を表明し、問題を解決する考えがないことを示したと非難した。

 その上で、非核化の議論を始めるには、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射中止など北朝鮮がこれまでに取った措置に米側が「誠意をもって応じる」必要があると指摘した。また、米側に年末まで「熟考」することを促し、核実験とICBM発射を再開するかどうかは「全面的に米国の立場に懸かっている」とけん制した。