[11日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は11日、銀行システム内における「潤沢な準備」の確保に向け、月額約600億ドルの財務省証券の買い入れを10月15日に開始すると発表した。少なくとも2020年第2・四半期まで実施する。
FRBは、こうした措置はこのほど見られた短期金融市場の逼迫に対応する「テクニカル」なもので、金融政策スタンスの変更ではないと強調。毎月の買い入れ規模は、銀行システム内に必要な流動性水準について知見が得られるに従い、調整していくとした。
短期金融市場では予想を上回る法人税納付や国債入札による現金需要の高まりを背景に、9月半ばに国債などを担保とするレポ取引市場で金利が一時2.25%程度から10%に急騰。金融調節を担当するニューヨーク連銀がレポ市場を通じて翌日物資金を供給し、金利の安定を図った。
FRBはこうしたレポ取引を通じた流動性強化を来年1月まで継続すると表明した。
トランプ米大統領は繰り返しFRBに対しバランスシートの縮小を停止するよう要請してきたが、FRBは買い入れ開始に関する声明文で、トランプ氏の要請に応じたものではないと強調。今回の措置は金融危機後に実施した買い入れとは性質が完全に異なるとも主張した。
金融危機後に実施したいわゆる量的緩和(QE)措置は投資などの活性化に向け長期金利を引き下げることが目的だったが、今回発表した期間が短い証券の買い入れは短期金融市場の円滑な運営の促進が目的。FRBは声明で、こうした買い入れは「家計と企業の支出、および全般的な経済活動」に有意な影響はほとんど及ばないと繰り返し主張した。
市場では、FRBが短期金利の安定化に向け必要に応じて行動を起こす姿勢を示しているとの見方が出ている。ジェフリーズ(ニューヨーク)の首席金融エコノミスト、ワード・マッカーシー氏は「フェデラル・ファンド(FF)金利を誘導目標近辺にとどめるためにFRBはあらゆる手段を尽くす」と指摘。「こうした措置で十分な効果が得られなければ、FRBは一段の措置を導入するだろう」と述べた。