【ニューヨーク時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、民間金融機関が資金を融通し合う短期金融市場を安定させるため、15日から短期国債を月600億ドル(約6兆5000億円)のペースで買い入れることを決めた。2014年10月に量的金融緩和を終了して以来、5年ぶりに保有資産の拡大に踏み切る。
ただ、資産購入再開についてパウエルFRB議長は「(景気刺激のために長期金利の低下を促す)量的緩和ではない」と強調。買い入れ対象は償還期間が1年以内の国債に限定し、量的緩和で購入した長期国債は除外した。
短期金融市場では9月中旬、金利が急上昇してFRBの政策金利の上限を突破。法人税支払いなどで資金需要が高まったのが直接の要因だが、量的緩和収束で銀行が短期市場に融通できる余剰資金が減り、短期金利が上がりやすい状況になっていた。
FRBの保有資産は金融危機時に導入された量的緩和で約4兆5000億ドルまで拡大したが、金融政策の正常化の一環として17年10月に資産圧縮を開始し、約3兆9000億ドルまで減少。銀行がFRBに預けた余剰資金である準備預金も約2兆8000億ドルから半減していた。
FRBは少なくとも20年4~6月期まで国債購入を続け、銀行が潤沢な準備預金を保有できるようにする。FRBの資産は20年4月ごろには圧縮開始前の水準に迫る計算だ。