[ニューヨーク 14日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルが上昇。米中通商合意や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感から、安全資産としてのドルの投資妙味が高まった。 

円やスイスフランの買いも膨らみ、対ドルで小幅上昇した。 

ブルームバーグがこの日、中国が米国と前週末に達した「第1段階」の通商合意への署名前に合意を巡る詳細について一段の協議を持つことを望んでいると報じたことを受け、安全資産とみなされる通貨に対する逃避買いが加速した。 

トランプ米大統領は11日、米中が第1段階の通商合意に達したと発表。中国による米農産品の大規模購入のほか、一部の知的財産権、為替、金融サービスの問題などについて合意し、米国が15日に予定していた対中制裁関税引き上げは見送られた。 

ムニューシン米財務長官はこの日、12月15日に発動が予定されている対中追加関税については、その時までに中国と通商合意に達しなければ、課される可能性はあると述べた。同時に合意成立への期待も表明した。 

英国が「合意なき」離脱を回避するとの楽観的な見方も後退した。EU議長国を務めるフィンランドのリンネ首相は、英国との離脱合意にはまだ時間がかかるとし、週内に全面的な合意に至る公算は小さいとの見方を示した。 

ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「警戒感が市場に舞い戻って来た」と指摘。米中貿易戦争や英EU離脱を巡る状況は「実質的に変わっておらず、不透明性は依然高まったままだ」と述べた。 

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.2%上昇し98.468。 ドル/円JPY=は0.1%安の108.36円。 新興国通貨のほか、豪ドルやスウェーデン・クローナなどにも売りが出た。 

ポンドGBP=EURGBP=は対ドル、ユーロで下落。英・EUが離脱合意の達成に向けなおすべきことが多いとの認識を示したことが圧迫材料となった。 

日本が祝日、米国がコロンブスデーで金融市場の一部が休場だったことから、商いは薄かった。 

ドル/円 
NY午後4時 108.39/108.42 
始値 108.18 
高値 108.45 
安値 108.18 

ユーロ/ドル 
NY午後4時 1.1023/1.1027 
始値 1.1029 
高値 1.1032 
安値 1.1018