- 現在の状況下では米側主張の購入額に達する可能性低い-関係者
- 中国、輸入増やすため幅広い品目の購入を検討
中国は、米国に対する報復関税を維持する限り年間500億ドル(約5兆4200億円)相当の米国産農産物の購入は難しいとみている。報復関税を撤廃する条件は、トランプ米大統領が同様に関税を撤廃することだという。事情に詳しい関係者が明らかにした。
中国は「第1段階」の貿易合意の一環として米国産農産物の購入を開始する用意があるが、現在の状況下では購入額がトランプ大統領が主張している400億-500億ドルに達する可能性は低いと、関係者が非公開の交渉内容だとして匿名を条件に語った。
米国は先週、米中両国が大枠で合意に達したとしていたが、中国側の条件は両国の隔たりがまだ大きいことを鮮明にする。米国は、予定されていた関税を発動しないことを条件に中国が大量の農産物購入を約束したとしていたが、中国側の姿勢は合意の道筋が当初の説明よりも複雑であることを意味する。
第1段階の合意の下で、中国が米国産農産物輸入を今後2年間で年間400億-500億ドル規模に増やすとムニューシン米財務長官が述べていた。中国はこれまでに、同国企業が米国の農産物を購入できるように関税を免除してきた。関係者によれば、中国は購入開始に向けて再びこの措置を取ることができる。しかし年間500億ドルという規模の場合、免除は現実的でないと考えられていると、関係者の1人が述べた。
中国企業は今年これまでに大豆2000万トン、豚肉70万トンをはじめとする米国産農産物を購入しており、購入を加速させると中国外務省の耿爽報道官が15日述べた。第1段階の貿易合意に関する質問には、米国の説明は「正確」であり、米国と中国は状況について同じ理解をしていると答えた。
関係者によると、中国は輸入を増やすために、大豆、穀物、綿、エタノール、肥料、ジュース、コーヒー、肉類などの幅広い品目を購入することを検討。家禽(かきん)に対する輸入障壁を解除することも話し合われている。機械、木材、農薬も輸入品目に追加する可能性があり、これらの購入額は400億ドル以上となる見込みだが、中国側はそれぞれの品目の具体的な輸入額は決定していないという。
中国商務省に米国産農産物の購入可能性についてファクスでコメントを求めたが、現時点で応答はない。
原題:China Wants U.S. to Remove Tariffs to Hit $50 Billion Imports(抜粋)