EU=ヨーロッパ連合のヨーロッパ議会は、人権擁護に貢献した人に贈る「サハロフ賞」のことしの受賞者に、中国の少数民族 ウイグル族の権利擁護を訴え、現在中国国内で服役しているイリハム・トフティ氏を選んだと発表しました。
「サハロフ賞」はノーベル賞を受賞した旧ソビエトの物理学者のアンドレイ・サハロフ氏にちなんで、ヨーロッパ議会が人権擁護に貢献した個人や団体に毎年贈っているものです。
ヨーロッパ議会のサッソーリ議長は24日、ことしの受賞者に中国の少数民族、ウイグル族の研究者 イリハム・トフティ氏を選んだと発表しました。
イリハム氏は長年にわたりウイグル族の権利擁護のほか漢族との融和や相互理解を訴え、「テロ対策」という口実でウイグル族への弾圧を強める中国政府の民族政策を厳しく批判していました。
しかし5年前に中国の治安当局に拘束されて国家の分裂を図った罪で無期懲役の判決を受け、現在、服役しています。
サッソーリ議長は「イリハム氏はウイグル族の権利擁護に人生を捧げている」と選考理由を説明したうえで、中国政府に対し、イリハム氏の釈放とウイグル族の権利の尊重を改めて求めました。
イリハム氏をめぐってはアメリカや国際的な人権団体なども釈放を求めていて、アメリカの議員らはイリハム氏をことしのノーベル平和賞の候補に推薦していました。
中国政府は強く反発か
中国政府はまだ公式のコメントを出していませんが、今月上旬、イリハム氏が受賞者の候補になったことについて中国外務省の耿爽報道官は「イリハム氏は過激な暴力やテロを支持する分裂分子であり、取り下げるよう求める」と述べ、授賞に反対する立場を示していました。
そして「いわゆる人権や自由を掲げて過激な暴力やテロを支持する分裂分子を表彰することは犯罪の容認と奨励であり、法治と人権への冒とくと愚弄である」と、強いことばでけん制しており、今回授賞が決まったことで中国政府が強く反発するのは確実と見られます。