- 5月に新たな有料クラウドサービス「グーグル・ワン」を発表
- 有料版への移行は毎年数十億ドルの追加収入につながる可能性
米アルファベット傘下グーグルは、クラウド上で大容量の無料ストレージを提供することで、数十億人の消費者を自社のデジタルサービスに取り込んできた。それが今や変わり始めている。
ユーザーがオンラインで保存するデータが拡大し続ける中、グーグルはここ数カ月で無料のストレージサービスを一部縮小し、より多くのユーザーに新たな有料定額制クラウドサービス「グーグル・ワン」に移行するよう促している。
ユーザーは保存容量の上限に達した時、有料版に切り替える以外ほとんど選択肢がなく、そうしなければ電子メールや写真、文書へのアクセスを失う可能性があることを理解している。この料金は大半の消費者にとって高くはないが、グーグルの事業規模を踏まえると、毎年数十億ドルの追加収入につながる可能性がある。 グーグルに電子メールでコメントを求めたが返答はない。
有料版への移行を大きく後押ししているのがGメールだ。グーグルは2004年にGメールのサービスを開始した時、競合他社よりもはるかに大きな無料ストレージを提供することで電子メール事業を刷新した。グーグルは数年ごとに保存容量の上限を引き上げていたが、13年にこれを停止した。
グーグルは今年5月、クラウドストレージサービス「ドライブ」の代わりとなる「グーグル・ワン」を発表。無料のストレージ容量は15ギガバイト(GB)。保存容量100GBのサービスは月額1.99ドル(日本では250円)となる。同社はほぼ同時期に、2年間で100GBの無料ストレージを提供するノート型パソコン「クロームブック」のサービスを1年間に短縮した。
Gメール、ドライブ、「グーグルフォト」にはそれぞれ10億人以上のユーザーがいる。グーグルが無料ストレージサービスの一部を縮小し、より多くの人に有料サービスへの移行を促す中、新たな多額の収入源が生まれる可能性がある。Gメールユーザーの10%がグーグル・ワンの月額1.99ドルのサービスに加入した場合、年間約24億ドル(約2600億円)の収入が生み出される。
原題:
Gmail Hooked Us on Free Storage. Now Google Is Making Us Pay(抜粋)