日本人の一人当たりGDPは2018年に世界第26位に転落した。これに関連した情報をYahooニュースが過日提供した。当該記事は「『日本は26位に転落』一人当たりGDPの減少に見る日本経済の処方箋」というもの。前新潟知事の米山隆一さんがツイッターに投稿、情報法制研究所上席研究員の山本一郎氏が解説を書いている。一人当たりGDPの低下はいまに始まったことではない。米山氏が指摘するように「1988年の2位」をピークに低下の一途を辿っている。26位まで落ち込んだこの30年間の軌跡は、急成長を続けた日本経済が巡航速度に落ち着くまでの転落の記録でもある。主要先進国で見れば米国の9位を除くとドイツ18位、フランス21位、イギリス22位、イタリア25位と他の先進国も決して高くはない。

問題は順位というよりも金額だろう。1位ルクセンブルクの一人当たりGDPは11.5万ドルである。2位のスイスが8.3万ドル、3位のマカオが8.1万ドル。ちなみに米国は6.3万ドル、ドイツは4.7万ドル。これに対して日本は3.9万ドルで、前年に比べて0.1万ドル増えたが額自体は相変わらず少ない。GDPそのものは米国、中国についで3位。日本は依然として世界で有数の経済大国であることに変わりはない。にもかかわらず一人当たりに焼き直すと世界26位に急落する。ちなみに2位の中国は一人当たりだと世界第70位、金額は0.9ドルにすぎない。日本人も中国人も世界の人に比べると稼ぎが少ないということになる。

少子高齢化で日本の総人口は減少傾向が続いている。普通ならGDPの伸び率がゼロだとしても、一人当たりの金額は増えていいはずだ。前年に比べて1000ドル増えているとはいえ、伸び率はいかにも低い。裏返せば一人当たりの生産性が低すぎるということだ。AIやIoT、ロボットなど最先端技術を活用した第四次生産革命も、いまのところほとんど効果をあげていない。そう考えると米国の9位というのは凄い。日本人の倍近く稼いでいる。この差は結局GDPの伸び率の違いということになる。金融大国日本の企業は投資を怠って内部留保を積み増している。国民は拡大鏡を使っても見えないような超低金利の普通預金に大半の預貯金を預けている。何かが間違っているような気がするのだが、誰もそれを言わない。