[マドリード 11日 ロイター] – スペインで10日投開票された総選挙で大敗した中道右派の新興政党シウダダノスのリベラ党首が11日、辞任した。同党が、サンチェス首相率いる穏健左派の社会労働党(PSOE)との連携に前向きな姿勢に転じる可能性が出てきた。 

4月に続き今年2度目となった総選挙では、議会の分断が一段と深まった。社会労働党は第1党を維持したものの、議席は減らし、過半数にはさらに遠い状況となった。一方、極右政党ボックス(VOX)が4月の選挙の倍以上の議席を獲得し、第3党に躍進。対照的に市場寄りの政策を掲げるシウダダノスは議席を大幅に減らした。

シウダダノスは、2015年に議会に初進出を果たし、社会労働党と中道右派の国民党(PP)による二大政党制を終わらせた。新しい形の中道リベラル色を打ち出してきた同党だが、リベラ党首の下で今年に入って右派色を強め、社会労働党へのいかなる協力も拒否してきた。 

リベラ氏は11日、自身の戦略が失敗したと表明。他党との連携に前向きな人物への交代に道を開いた。「スペイン国民を一つにまとめる時が来た。政治の指導者らは分断を選ぶか、橋渡しを務めるかどちらも可能だ」と訴えた。 

総選挙は過去4年間で4回行われている。多党制への転換は安定的な政権の樹立をますます困難にしている。 

それでもなお、社会労働党の幹部、ホセ・ルイス・アバロス氏は早期の政権樹立を目指すと強調、12月までの発足に期待感を示した。同党の党首と暫定首相を務めるサンチェス氏が、11日に他の政党の党首に連絡をとり始め、シウダダノスが協力に前向きな姿勢を示したと明らかにした。 

社会労働党は既に、今回議席を大幅に増やした第2党の国民党との「大連立」の可能性を否定している。 

サンチェス氏の首相再任には、議会の信任投票で絶対過半数を得る必要がある。ただ、それがかなわず再投票となる場合は、信任票が不信任票を上回れば可決となるため、棄権票の数によっては信任される可能性がある。 

VOXの党首は、社会労働党が率いるいかなる政権にも反対票を投じる方針を明らかにした。