トランプ米大統領の個人弁護士らが政治的な動機に基づいた調査をウクライナに要求し、米外交官を追い詰めたのは、米国とウクライナの両方に害を与える行動だったと、この日始まった大統領弾劾公聴会で2人が証言した。

ウィリアム・テイラー駐ウクライナ代理大使は13日、下院情報特別委員会の公聴会で、トランプ氏がマルバニー大統領首席補佐官代行を通じてウクライナ支援の保留を命じたと聞かされた時の衝撃を語った。焦点となっているゼレンスキー・ウクライナ大統領との電話会談が行われる1週間前のことだという。

House Intelligence Committee Holds Hearing On Impeachment Inquiry Of President Trump

テイラー氏は「私をはじめ全員ががく然とした。ウクライナはロシアと戦っており、訓練や兵器だけでなく米国の確実な後ろ盾を頼りにしていた」と証言。「米国の強力なウクライナ支援が大きな柱を失いそうになっていることを、一瞬のうちに私は理解した」と述べた。

テイラー氏は米国の対ウクライナ政策について、マルバニー氏やトランプ氏個人弁護士のルディ・ジュリアーニ氏、ゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)米大使らによる「非公式の裏チャンネル」の存在も説明した。

さらに新たな事実として、7月25日の電話会談の翌日に、別の電話による話し合いがあったことも明らかにした。この電話の現場に居合わせたテイラー氏のスタッフが聞いた通話内容によると、トランプ氏はソンドランド氏に「調査」について尋ねていたと、テイラー氏は証言。この電話の後、そのスタッフがソンドランド氏に大統領の考えを問うと、ソンドランド氏からは、大統領が気にかけているのはバイデン氏の調査の方であって、それについてはジュリアーニ氏が圧力をかけているとの回答があったと、テイラー氏は述べた。

もう1人の証人、ジョージ・ケント国務次官補代理はジュリアーニ氏がウクライナ関係者らと組んで、ゼレンスキー大統領に圧力をかけるとともに米外交官を追い込んだと証言。「ホワイトハウスでの首脳会談を望むゼレンスキー大統領の立場を利用して、ジュリアーニ氏は政治的な動機に基づいた調査を迫り、米国のウクライナ関与に影響を及ぼしつつあることが、自分には明白になった」と述べた。

原題:
Diplomats Recount Trump Pressure on Ukraine, Disclosing New Call(抜粋)