[ワシントン 14日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、下院予算委員会で証言し、過去最長の拡大局面にある米経済に過熱の兆候は見られず、急激な景気後退に陥るリスクは極めて低いとの見解を示した。 

さらに、米中貿易摩擦や企業の投資減速、国外での低調な経済情勢に伴うリスクにもかかわらず、現在の拡大局面は持続可能な軌道にあるようだと述べた。 

パウエル議長は「米経済成長率は2%のレンジにあり、他の先進国を上回っている」とし、米経済は「スター(最も優れている)」と評価。その上で「この拡大が継続しない理由はない」とし、FRBは緩やかな成長の継続を想定していると述べた。 

拡大を脅かす過熱は存在しないかとの質問に対しては、「米経済には現時点で崩壊するようなブーム(過熱)は見られない」とし、「極めて持続可能な状況にある」と言明した。 

貿易摩擦が米製造業低迷の一因になったとしつつも、その影響が経済全体に波及している兆候は確認していないと述べた。FRBはそうしたリスクを注視しているものの、「経済の70%を支える消費者の動向は堅調だ。信頼感は高水準にあり、失業率は低水準で賃金も上昇している」と指摘。「それが現時点で米経済を主導しており、今後も継続する見通しだ」と述べた。 

冒頭証言は、前日行った下両院合同経済委員会での内容をほぼ踏襲。前日の証言では「現在の金融政策スタンスが引き続き適切となる公算が大きい」とし、「見通しが著しく再評価」されない限り、FRBが利下げ余地を活用する可能性は低いとの認識を示したほか、トランプ大統領が求めるマイナス金利は持続的な成長や強固な労働市場、安定的なインフレを備える米経済にとって適切ではないと述べた。 

また、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)批准は不透明感を取り除き、「米経済に建設的」と指摘したほか、連邦政府の債務を持続的な軌道に乗せることが必要との認識を改めて示した。