[ルイビル(米ケンタッキー州) 14日 ロイター] – 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は14日、連邦準備理事会(FRB)の利下げを受けた米長短金利の逆転解消は、来年の米経済にとって「強気」の材料になり得るとし、市場動向に基づくリセッション(景気後退)懸念は取り除かれたと主張した。 

ルイビルのロータリークラブ向けの準備原稿で「米連邦公開市場委員会(FOMC)は過去12カ月間で米短期金利の見通しを大幅に変更する措置を実施し、経済に追加的な緩和を提供してきた」と指摘。今年発生した米長短金利逆転は解消し、米債のイールドカーブは通常の右上がり曲線に戻ったことから、「2020年の強気要因になり得る」と述べた。 

またFRBは7月以降3回の利下げを実施し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を合計0.75%ポイント引き下げたが、年初に見込まれていた利上げが議論の対象外になったことで、今年の金利見通しはおそらく1.32%引き下げられ、実際の利下げよりも大きな効果があったと分析。「現行の米金融政策は昨年末よりもかなり緩和的だ」と語った。 

その上で、こうした政策変更の効果が現れているとみられ、イールドカーブの形状変化がその証拠だとした。 

米経済成長率に関しては、利下げ効果がフルに寄与する20年に2%を超えると想定。「FRBは19年に大きな動きを見せた。第4・四半期から来年にかけて経済がどのように反応するのかを見るのは理に適う」とした。 

さらに企業が世界的な通商政策の混乱や米中貿易摩擦の影響に適応することで来年の経済成長率が予想外の伸びになる可能性があるとの見方を示した。 

金融政策の枠組みの見直しについては、FRBは「大きな変更を表現する手段を持ち合わせていない」と指摘。平均インフレ目標など検討されている一部の手法は政策を巡る議論に影響を与えるかもしれないが、導入を決定する意向はないとした。