[ワトフォード(英国) 4日 ロイター] – 英ロンドンで3日から2日間の日程で開催された北大西洋条約機構(NATO)創設70周年の記念首脳会議は4日、相互防衛義務を確認し、ロシアの脅威に対抗しながら中国の台頭に備える方針で一致した。
共同宣言では、不安定なウクライナ情勢や米ロ間の中距離核戦力(INF)全廃条約失効などを踏まえ「ロシアの攻撃的な行動はNATOへの脅威となる。あらゆる形態のテロや示威行為は依然、全加盟国に対する根強い脅威だ」と表明。その上で、ロシアによる新型中距離ミサイル配備に対し慎重に対応する方針を確認した。
また中国について首脳会議の議題として初めて取り上げ、同国の影響力拡大が課題と認め、加盟国による一致した取り組みが必要だと強調した。その他、第5世代(5G)移動通信網を含む通信技術の安全性確保に努めると表明した。
NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で「われわれはこれまで機構内の不一致を克服しつつ、相互防衛という責務を遂行してきた」と語り、各国の結束を強調した。
しかし、会議中は首脳同士の対立や批判、中傷も目立った。先にNATOが「脳死状態」にあると発言したマクロン仏大統領は、NATOが機能不全に陥っていると改めて指摘。これに対しトランプ米大統領は「非常に、非常に不快だ」と批判した。またトランプ氏はドイツなどを念頭に一部加盟国を防衛費の「未納国」と非難した。
こうした中、3日夜のイベントではカナダのトルドー首相やジョンソン英首相、マクロン氏らがトランプ氏を笑いものにしていたことが撮影動画により判明。遅刻したマクロン氏にジョンソン氏が理由を尋ねると、トルドー氏はトランプ氏が首脳会談の冒頭で「40分も記者会見をするからだ」と説明。さらに「彼の取り巻き連中も顎が地面に付くほどあぜんとしていた」と笑いながら続けた。これについてトランプ氏は「トルドー氏は裏表がある人物だ」と評した。