日本同様年金改革に取り組むフランス。マクロン政権はこれに反対する大規模なデモに遭遇し、苦境に立たされている。全世代型社会保障改革と銘打って年金、医療、介護と社会保障制度を網羅的に見直そうとしている日本。これに対してマクロン大統領が取り組んでいるのは、とりあえず年金改革。職域別に42本に分かれている年金制度を一本化し、格差があった年金支給額の公平化を図ろうというものだ。その改革に反対するデモが今週末から来週にかけて予定されており、解決の糸口はみえないようだ。
NATOを「脳死状態」と批判したマクロン大統領。トランプ大統領をはじめNATO参加国首脳から総スカンを食らったのはつい最近のこと。その大統領が国に帰れば今度は多くの労働者の反撃に会う始末だ。改革自体は公平性の確保が柱になっており、外から見ている限り批判されるような内容ではない気がする。だが、ジェトロ・パリ事務所が9月24日に発表したリポートによると、「年金改革により、既得権を失う特別制度を享受する労働者の反感は必至とみられており、改革は難航しそうだ。9月13日にはパリ交通公団(RATP)による大型スト、同16日には弁護士や医療関係者ら自由業者のデモが行われた。9月24日にはフランス国鉄(SNCF)のストが行われる予定」とある。
この延長線上にあるのが5日から始まった全国規模のストライキだ。NHKによると「フランス政府は来週にも年金制度の改革案を公表する予定ですが、年金受給額が減額されるおそれがあるとして国鉄職員や教職員の労働組合などが反発し、5日から全国規模のストライキに踏み切りました」とある。「この影響で国鉄は全国の運行本数の9割が運休になり、パリの地下鉄やバスの運行本数も大幅に減る事態となりました。フランス全土ではおよそ250か所で年金改革に反対するデモも呼びかけられ、政府発表で80万人以上が参加しました」とのこと。11月初旬に1週間ほどフランスに滞在したが、旅行中に感じたのは日本の素晴らしさ。同じ年金改革でもデモが起こらない日本政府は、恵まれている気がする。
- 投稿タグ
- 社会保障