[ワシントン 6日 ロイター] 米労働省が6日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から26万6000人増と予想の18万人を超えて増加し、伸びは10カ月ぶりの大きさになった。製造業部門の低迷が続く中でも米経済が緩やかな成長を続けていることが示された。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●労働市場の目立った減速見られず <ウェルズファーゴ・インベストメント・インスティチュート(セントルイス)のシニア国際市場ストラテジスト、サミール・サマナ氏>
米国の個人消費が国内経済の成長を支え、かつ世界経済の見通しの安定化にも寄与しており、国内経済のみならず世界経済をもけん引している構図がうかがえる。統計内容は非常に好調で、労働市場の目立った減速を示す兆候は見当たらない。
特に興味深い点は、労働参加率が12カ月平均で63%と、上昇傾向にあることだ。大きな改善とはいえないかもしれないが、米国のような経済大国ではこうした変化の一つ一つに意味がある。
●FRBのシナリオ通り、利下げ休止表明に満足 <RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の首席米エコノミスト、トム・ポーチェリ氏> 米連邦準備理事会(FRB)はこれまでに示してきたシナリオに満足すると思われる。FRBは(米経済は)良好との見解を示しており、今回の雇用統計はこうしたシナリオにうまくあてはまるものだった。FRBは利下げ休止姿勢を示したことに極めて満足していると思われる。
●トランプ政権の政策奏功、通商問題は不確定要因 <ニュー・バインズ・キャピタル(ニュージャージー州)のマネジングディレクター、アンドレ・バコス氏> 若干の弱含みが見られる中でも、米経済が力強いことが確認された。企業は米経済が力強いとなお確信しており、雇用を継続している。
今回の雇用統計は景気が減速しつつあるとの議論に対抗するものとなる。トランプ政権が掲げる政策が、力強い経済と雇用市場という形で体現されていることが示された。
米中通商協議はあらゆる場面で常に意識されている。(トランプ政権が対中追加関税を発動させるとしている)12月15日までには状況はより明確になると思われるが、まだ何もはっきりしていない。当面はボラティリティーの要因となるワイルドカードであり続ける。