【ソウル、ニューヨーク、ワシントン時事】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の国防科学院報道官は8日、北西部・東倉里にある「西海衛星発射場」で7日午後に「非常に重大な実験が行われた」と発表した。実験の詳細には触れていないが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に使われるエンジン燃焼実験の可能性があり、米国などとの緊張が高まりそうだ。
報道官は今回の実験について、「成功的な結果」を朝鮮労働党中央委員会に報告したと指摘。「遠からず(北朝鮮の)戦略的地位をもう一度変化させる上で重要な作用をするだろう」と主張し、ミサイル技術の強化を示唆した。
米メディアは5日、同日撮影された衛星画像の分析から、北朝鮮が西海衛星発射場でICBM用のエンジン燃焼実験の再開を準備している可能性があると報じていた。
一方、北朝鮮の金星国連大使は7日、声明を発表し、「米国と今、長い協議を行う必要はない。非核化は既に交渉のテーブルから下ろされた」と非核化交渉中断を主張。米国の求める「持続的で実質的な対話」についても、「内政課題のために朝米対話を利用する時間稼ぎの策略」と非難した。
北朝鮮は、米国との非核化交渉の期限とする年末が近づく中、対米批判を強めており、中断していたICBM実験の再開や米朝交渉の打ち切りをちらつかせることで、米国に速やかな対応を迫る狙いがあるとみられる。
これに対しトランプ米大統領は8日、ツイッターで、金正恩朝鮮労働党委員長は昨年のシンガポールでの米朝首脳会談で非核化の合意に署名したと指摘。「約束通り非核化しなければならない」と述べ、協議継続を促した。正恩氏は自分との特別な関係を無効にしたり、来年11月の米大統領選を妨害したりすることを望んでいないと強調した。