【ベイルート時事】イラン政府は5日、欧米などと結んだ核合意に伴うウラン濃縮について、全面的に制限を順守しないと宣言した。国営テレビが報じた。イランが段階的に進めてきた核合意の履行停止の第5弾で、最終的な措置という。イランの核開発を大幅に制限した2015年の合意は、崩壊の瀬戸際に立たされた。
イラン情勢をめぐっては、同国革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が3日、米軍のイラクでの作戦により殺害された。これを受け、イランは核合意への態度をさらに硬化させた形で、イランの核開発を脅威と見なす米国との関係悪化がさらに進むのは避けられない情勢だ。
イラン政府報道官は、合意で定められたイランがウラン濃縮に使う遠心分離機の「数や能力の上限を守らない」と述べた。さらに、核開発に関する研究や開発についても、今後は制限なく行う姿勢を示した。
一方で、核問題に関する国際原子力機関(IAEA)との接触を続けると表明。米国がイランへの制裁を解除すれば、今回の措置は撤回すると指摘した。