【ワシントン時事】トランプ米大統領は4日、イランが米国の国民や財産に攻撃を仕掛けた場合、反撃として「われわれはイランの52カ所を標的にする」とツイッターに投稿した。米軍の空爆によるイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害を受け、イランで報復の声が上がっていることに強い警告を発した。
トランプ氏は標的の52カ所について、1979年にイランで起きた米大使館占拠事件で人質になった米国人の数で「イランおよびイラン文化にとって極めて重要なもの」が含まれると主張した。また、ソレイマニ司令官が「米国人を殺し、他の多くの人をひどく傷つけたテロリストの指導者」だと断罪し、殺害を正当化した。
これに対し、イランのザリフ外相は5日、ツイッターで「文化遺産への攻撃は戦争犯罪だ」とけん制。AFP通信によると、イラン軍のムサビ総司令官は「米国には(戦争を)始める勇気はないだろう」と挑発した。また、最高指導者ハメネイ師の軍事顧問はCNNテレビのインタビューで、「(ソレイマニ司令官殺害への)報復は軍事施設への軍事的な対応になるだろう」と語った。
米国土安全保障省は4日付でテロ警戒情報を出し、現時点で「米国内で特定かつ信頼に足るテロの脅威を示すものはない」としながらも、イランや親イラン組織が米国内で活動する意欲と能力を誇示していると指摘。米国の関連組織を狙ったサイバー攻撃や、反米思想に感化された者が起こす「ホームグロウン(国産)テロ」を警戒するよう呼び掛けた。
一方、ホワイトハウスは4日、ソレイマニ司令官殺害作戦について、正式に米議会へ通告した。軍事行動から48時間以内の議会通告を定めた戦争権限法に基づくもので、同司令官が米国人らを標的に「差し迫った攻撃を企てていた」などと説明したとみられる。
野党民主党のペロシ下院議長は声明で、通告文書が「イランと対決するという米国の決定に関し、そのタイミングや方法、正当性をめぐる緊急で深刻な疑念を生じさせた」と指摘。「トランプ政権による挑発的な軍事行動が、米国や同盟国の軍人、外交官、民間人を危険にさらす」ことに強い懸念を示した。