3日、米フロリダ州パームビーチで、イランのソレイマニ司令官殺害についてコメントするトランプ大統領(AFP時事)
3日、米フロリダ州パームビーチで、イランのソレイマニ司令官殺害についてコメントするトランプ大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】米国防総省当局者は3日、中東地域に約3500人の部隊を増派する方針を明らかにした。イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍の空爆で殺害され、イランが報復を警告しているのを受けた措置。ワシントン・ポスト(電子版)など米メディアが伝えた。

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 米政府は昨年12月末、イラクの首都バグダッドにある米大使館前での大規模デモを受け、中東地域に約750人の増派を発表したばかり。追加増派で緊張が一層高まるのは必至だ。

 イラク国営テレビは4日、米軍がバグダッド近郊で新たな空爆を行ったと報じた。イラク軍関係者はロイター通信に6人が死亡したと指摘。標的はイラクのシーア派武装勢力の連合体「人民動員隊」傘下の組織だったと語ったが、空爆を否定する情報もあり信ぴょう性は不明。

在イラク米大使館の入り口に殺到する、イスラム教シーア派のデモ隊=2019年12月31日、バグダッド(EPA時事)
在イラク米大使館の入り口に殺到する、イスラム教シーア派のデモ隊=2019年12月31日、バグダッド(EPA時事)

 トランプ大統領は3日、滞在先のフロリダ州で、ソレイマニ司令官が米国の外交官らを狙った「差し迫った悪意ある攻撃」を企てていたと主張。「米国は戦争を始めるためではなく、戦争を食い止めるために行動した」と殺害を正当化した。

 オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日の電話記者会見で「トランプ大統領は引き続き平和的な事態解決を目指している」と説明。「一層の緊迫化の道を選んでも、イランの国民や政権は何も得られない」とけん制した。

 ポンペオ国務長官は3日、英国、フランス、ロシアなどの外相のほか、サウジアラビアのムハンマド皇太子、中国の楊潔※(※竹カンムリに褫のツクリ)共産党政治局員らと相次ぎ電話で会談し、司令官殺害について説明した。イラクで米国への反発が高まっていることから、イラクのサレハ大統領とも電話会談し、事態沈静化に取り組む考えを伝えた。

 一方、イランのラバンチ国連大使は3日、CNNテレビとのインタビューで「軍事行動に対する対応は軍事行動だ」と述べ、軍事的報復を警告した。