【ワシントン時事】米国防総省は2日夜、トランプ大統領による指示で、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。ロイター通信によると、米軍はイラクの首都バグダッドで空爆を実施。ソレイマニ司令官とイラクのイスラム教シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ(KH)」の指導者アブ・マフディ・アルムハンディス容疑者が死亡した。
ソレイマニ司令官が率いるコッズ部隊はイラン革命防衛隊で対外工作を担う。KHもイラン革命防衛隊の支援を受けている。米軍がソレイマニ司令官らを殺害したことで、米イラン間の対立が一層激化する恐れがある。在イラク米大使館は3日、イラクに滞在している米国民に空路や陸路で直ちに出国するよう呼び掛けた。
AFP通信によると、イラン革命防衛隊も声明を出し、バグダッドの空港で現地時間の3日午前、米国による攻撃によりソレイマニ司令官が死亡したと発表。イラクのシーア派武装勢力の連合体「人民動員隊」の報道官は、空港で車列を標的にした空爆があったと指摘した。
ソレイマニ司令官殺害を受け、イランの最高指導者ハメネイ師は3日、ツイッターに投稿し、米国を念頭に「手を血で汚した犯罪者を待っているのは厳しい報復だ」と宣言。イラン全土が3日間喪に服すと発表した。イランのザリフ外相もツイッターで「極めて危険で愚かな緊張の拡大だ」と非難した。
AFP通信によると、イラクのアブドルマハディ首相は今回の空爆について、駐イラク米軍の地位協定の「重大な違反」だとし、「イラクでの破滅的な戦争の口火を切ることになる」と警告。人民動員隊の司令官は、全戦闘員に戦闘準備を指示した。
トランプ米大統領は3日、ツイッターに「ソレイマニ司令官は多数の米国人殺害をたくらんでいた」と投稿し、殺害を正当化した。米国防総省は声明で、「米軍は大統領の命令で、海外展開する人員を守るために決定的な自衛行動を取った」と表明。作戦内容の詳細は明かさなかったが、「イランの今後の攻撃計画を抑止することが目的だった」と説明した。
米軍は先月末、KHが駐留米軍基地を攻撃したとして、イラクとシリアにある拠点5カ所を空爆した。イラクでは少なくとも戦闘員25人が死亡したとされ、在イラク米大使館前で大規模反米デモが起きるなど緊張が高まっていた。
エスパー国防長官は2日、国防総省で記者団に、イランと親イラン派がさらなる攻撃を計画している兆候があると述べ、自衛のためには先制攻撃も辞さないと警告していた。