- ボルトン氏は新著の原稿を自分に近い人々やホワイトハウスに配布
- 軍事支援凍結と無関係という弁護側主張の重要部分が損なわれる恐れ
トランプ米大統領は、バイデン前副大統領らの調査にウクライナの当局者が協力するまで、安全保障上の援助を引き続き凍結したいと昨年8月時点で述べていたとボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)が近く出版する予定の著作で明らかにする。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
ボルトン氏が指摘するトランプ大統領の発言が事実なら、バイデン親子を含むトランプ氏の政敵と考えられる人物の調査発表を求めるウクライナへの要求と、軍事支援の凍結とは無関係という大統領弾劾裁判での弁護側主張の重要部分が損なわれることになりかねない。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、ポンペオ国務長官とバー司法長官、マルバニー大統領首席補佐官代行を含む複数のホワイトハウス当局者もトランプ大統領の要求を承知していたとボルトン氏は著書で指摘するという。
同紙の報道を受け、シューマー民主党上院院内総務は「ジョン・ボルトン氏は証拠を握っている」とツイート。ボルトン氏の招致には、少なくとも「4人の共和党議員」の造反が必要だが、シューマー氏は態度を決めかねている共和党議員らに対し、民主党に同調するよう訴えた。
ニューヨーク・タイムズ紙が複数の関係者を引用したところでは、ボルトン氏は新著の原稿を自分に近い人々に配布したほか、現職および元政権当局者が本を執筆する際に行われる一般的な出版前審査手続きのため、ホワイトハウスにも送ったという。
ボルトン氏の広報担当サラ・ティンズリー氏は電話取材で、ボルトン氏のホワイトハウス在任当時の回顧録について、「国家安全保障会議(NSC)による出版前審査のためホワイトハウスにハードコピー原稿を送った。他には渡しておらずNSCだけだ」と述べる一方、報道の正確性についてはコメントを避けた。
トランプ大統領は、バイデン前副大統領と息子らへの調査がウクライナへの軍事支援の条件だとボルトン氏に話したことは決してないとツイートで反論した。
トランプ氏は、自らの過去の発言をボルトン氏が出版予定の著作で暴露するとの報道について、「本を売ることだけが目的だ」と主張した。
原題:Bombshell Bolton Report Pressures GOP on Impeachment WitnessesTrump Tied Ukraine Aid to Biden Inquiry, Bolton Book Says: NYT(抜粋)