中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は、感染源である湖北省武漢市当局による“人災”との見方があるようだ。患者数や死亡者数の加速度的な拡大を眺めながら、どうしてこんなことになったのだろうと疑問に思っていた。飛行機やバスを止め、人口1000万人超の武漢市を封鎖し、今週からは中国政府が前面に出てきて出国を禁止するという強硬手段に打って出た。さすが、一党独裁国家。日本で同じことをやったら法的根拠や損害賠償など大騒ぎになる。そんなことを思いながら新型肺炎騒動を眺めていた。だが、この騒動の裏には「究極の忖度」があるという。さもありなん、中国よ、大丈夫か?思わず叫びたくなった。
25日に時事ドットコムに掲載された【地球コラム】「新型肺炎、真実語らない政府の隠蔽体質」に事の真相が書き込まれている。「原因不明の肺炎患者発病」という報告が最初にあったのは昨年12月8日のことだという。ところが、この事実が公になるのは同30日。市の衛生当局が作成した文書に「多くの病院で肺炎患者が相次いでおり、『海鮮市場』が関係していると記されていた」という。発生から何と22日目のことだ。そして海鮮市場の閉鎖が1月1日、死者が出たとの発表が11日、13日にはタイで、16日には日本で中国人の感染が確認された。何でこんなに対応が遅いの?2002年にはSARSを経験した国である。あの時の苦い経験は全く活かされていない。
【地球コラム】によると、こうした対応の裏で「地方政府も中央の国家衛生健康委員会も、『問題を小さくしたい』という保身意識が働いていた」という。中国は習近平主席を頂点とした強権統治国家である。地方政府も国家公務員も権力機構の上しか見ていない。独裁者である習主席の耳に悪い情報は入らない。それどころか年明けの1日には、問題を指摘する情報がインターネット上で流れたが、当局はこの情報を流した8人を「社会秩序を乱す違法行為」と断定し処罰している。感染が世界的に拡大して習主席がこの状況を把握したのが20日ごろ。これを機に中国国内の事態は逆転する。感染を封じ込めるために武漢市が閉鎖され、海外への渡航が禁止される。強権発動である。主席の顔色で全てが動く。“究極の忖度”がまかり通る中国。危ない!
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