[台北 3日 ロイター] – 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国工場の操業停止措置が2週目に突入した場合、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(2317.TW)の生産に「重大な」影響が及び、米アップル(AAPL.O)など顧客への製品出荷が中断される可能性があると、事情に詳しい関係者が3日、ロイターに対し明らかにした。 

中国最大の製造拠点の1つである江蘇省は域内の企業に対し、少なくとも2月8日まで、上海市内では2月9日まで操業を停止するよう通達。広東省の東莞市は2月10日まで操業しないよう指示した。 

関係者は、これらの通達を受け、鴻海の中国生産は「ほぼ全面的に」停止されたとし、この停止措置が延長された場合にはアップルなどへの製品出荷が滞る可能性があるとした。 

鴻海は現時点でコメント要請に応じていない。アップルはコメントを控えた。 

関係者によると、鴻海の新型コロナウイルスの感染拡大による影響は現時点で「極めて小さい」という。ベトナムやインド、メキシコ工場の活用で対応しているためで、操業停止措置を受けてもこれらの工場で時間外労働を行えば、生産の遅れを取り戻すことが可能だという。 

一方で、操業停止措置が2月10日以降も実施されれば、鴻海の出荷が混乱する可能性が高いと指摘。iPhoneの製造工場がある河南省鄭州市や広東省の製造拠点に関する懸念を示した上で、操業停止措置が1週間、1カ月と伸びれば、「その影響は重大」で、「アップル向け製品の生産ラインに間違いなく影響が及ぶ」と述べた。 

モーニングスターのアナリストは、鴻海の供給網に対する影響は「限定的」と指摘。2018年の総売上高に占める湖北省の子会社4社の割合はわずか1.8%に過ぎないほか、アップルなどは多様な供給網を維持しているとした。 

ただ、広東省など主要なスマートフォンの製造拠点への新型コロナウイルスの感染拡大は、鴻海などの業績見通しの修正につながる可能性があるとした。