[ニューヨーク 12日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、中国を発生源とする新型コロナウイルスの封じ込めへの 期待から米株価が上昇したことでドルに買いが入り、対ユーロで約2年ぶりの高値を付け た。
中国国家衛生健康委員会は12日、中国本土で11日に新たに確認された新型コロナ ウイルスの感染者は2015人、死者は97人だったと発表した。新たに確認された感染 者は1月30日以来の低水準。
スタンダード・チャータード(ニューヨーク)のG10FXリサーチ部門責任者、ス ティーブ・イングランダー氏は「時間は多少かかるものの、中国は新型ウイルスの封じ込 めに成功するとの確信が市場で広まっている」とし、「感染による死者数が中国本土以外 ではそれほど多くなっていないことが市場の安心感につながっている」と述べた。
こうした中、この日の米株式市場ではS&P総合500種とダウ工業株30種が過去 最高値を更新した。
連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日に上院銀行委員会で行った証言 で、新型ウイルス感染拡大による影響が「近く」表面化する可能性を想定しているとしな がらも、11年目に突入した過去最長の米経済拡大局面が持続することに改めて自信を表 明。前日に下院金融サービス委員会で行った証言でも新型ウイルスの感染拡大などに対す る懸念を示しながらも、米経済は良い位置にあるとし、経済見通しに対し前向きな見方を 示していた。
終盤の取引でドルは対円で0.26%高の110.06円、対ユーロで は0.41%高の1.0869ドルと、2017年5月以来の高値を更新した。
米経済指標がユーロ圏より良好なことも対ユーロでのドル上昇要因となっている。ニ ューバーガー・バーマン・マクロ・オポチュニティーズFXファンドのポートフォリオマ ネジャー、ウゴ・ランチオーニ氏は、「米経済指標は他の国・地域よりも良好で、経済成 長率の差はなお歴然としている」と述べた。
市場関係者はドイツで政治的な不透明感が増大していることもユーロの重しになって いると指摘。メルケル首相の後継者として最有力候補だった与党キリスト教民主同盟(C DU)のクランプカレンバウアー党首は10日、21年の選挙戦に出馬しないと表明。こ うした中、この日はドイツ社会民主党(SPD)がメルケル首相が退陣に追い込まれた場 合、CDUとの連立を離脱することを示唆した。
ニュージーランドドルは対米ドルで1週間ぶりの高値を更新。ニュージーラン ド(NZ)準備銀行(中央銀行)は12日、金利据え置きを決定すると同時に、経済の先 行きに自信を示し、必要なら追加緩和するとの文言を声明から削除。NZドルの急伸につ ながった。
ドル/円 NY午後4時 110.06/110.09 始値 109.95 高値 110.11 安値 109.95 ユーロ/ドル NY午後4時 1.0875/1.0877 始値 1.0911 高値 1.0914 安値 1.0866