[ニューヨーク 13日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで約2年ぶりの安値を付けた。中国で新型コロナウイルスの死者数と感染者数が急増したことを受け、ドルを含む米資産に買いが 入ったことが背景。
中国湖北省の衛生当局は13日、新型コロナウイルスによる肺炎の死者が12日時 点で242人増え、合計1310人になったと発表した。感染者数は12日時点で新たに 1万4840人増加し、合計4万8206人となった。世界保健機関(WHO)は「より 幅広い定義」に基づき感染を確認するようになったため急増したと説明している。
TD証券(ニューヨーク)のシニア外為ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は「中国 を含むアジア諸国と欧州の通商関係は極めて強い」とし、「年初時点では成長は緩やかに 上向くと予想されていたが、(新型ウイルスに起因する)阻害でこうした見通しには遅延 が出る」と述べた。
ユーロは対ドルで1.0835ドルと、2017年5月以来の安値に下落。前 日の取引でテクニカルな抵抗線だった1.0877ドルを突破したことで、ユーロは一段 の売りにさらされやすくなっている。
ユーロは安全資産と見なされる対スイスフランでも下落し、1.0610 フランと、15年8月以来の安値を付けた。円は対ドルで109.78円に上昇し た。
市場関係者は、低金利通貨を売って調達した資金を高金利通貨の購入投資に充てるキ ャリートレードも対ユーロでのドル上昇の背景にあるとの見方を示している。
新型ウイルスで経済が阻害されれば一段の金融緩和が実施されるとの観測を背景にリ スク選好度が高まっており、株価は急落を免れるとの見方が出ている。TD証券のイッサ 氏は「金利は低水準にとどまるとの見方が出ていることが株価支援要因となっている」と 述べた。
この日発表の1月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、変動の大きい食品 とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.2%上昇し、インフレ率は目標の2%に向け 徐々に上昇していくとする連邦準備理事会(FRB)の見方を裏付ける内容となった。
ドル/円
NY午後3時 109.80/109.81
始値 109.70
高値 109.86
安値 109.66
ユーロ/ドル
NY午後3時 1.0842/1.0846
始値 1.0856
高値 1.0869
安値 1.0835