- 企業支援で「的を絞った、段階的」な減税・費用削減
- 香港は「津波のような」衝撃に直面と財政官-G20でリスク増大議論へ
中国は追加の刺激策を実施する方針を示した。財政赤字は拡大しているものの、減速しつつある経済に新型コロナウイルスが打撃を与えていることから、てこ入れを強化する。新型ウイルスによる感染症例や死者が増える中、政府が厳しい対応を迫られている状況が浮き彫りとなった。
劉昆財政相は16日、中国共産党の理論誌「求是」で、新型ウイルスの影響で生産が打撃を受けているとし、減税や不必要な政府支出の削減といった措置を今年、一層確実に実施していくと表明した。
一部の経済分野を除き生産はまだフルペースで回復しておらず、安定成長を確実にするため刺激策を強化すれば、財政赤字は拡大し、政策の微調整も複雑さを増す可能性がある。だが当局は支出を拡大し、ウイルス感染拡大封じ込めのための資金を確保する必要性を重視していると、劉財政相は記した。
劉財政相は、企業支援に向けて「的を絞った、段階的な」税・費用の削減措置を継続していくと説明。必需品や物流を提供する企業への増値税(付加価値税)軽減ないし免除、地方の当局向けの資金供給拡大といった政策を実施すると加えた。
その上で、「大規模な減税や歳出削減といった措置により短期的に厳しさが増す可能性はあるが、国として中長期的な視点を持ち断固たる姿勢でそうした措置を講じる必要がある」と指摘した。
一方、香港は「津波のような」衝撃に直面しており、来年度は財政赤字が過去最大に膨らむ恐れがあると、陳茂波(ポール・チャン)財政官は指摘。数カ月間にわたる社会不安に加え、新型ウイルスの感染拡大を理由に挙げた。またアナリストらは、シンガポールが過去約20年で最大の財政赤字になる見通しを示している。
新型ウイルスにより商業活動が停滞し、サプライチェーンが打撃を被る中、サウジアラビアの首都リヤドで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が22日から開催される。同会議では新型ウイルスの感染拡大に伴う世界経済成長へのリスクの高まりが議論される見通し。各行に続き、HSBCホールディングスも今年の世界経済成長予想を従来の2.5%から2.3%に引き下げた。
原題:China Vows More Fiscal Support as Virus Roils a Slowing Economy(抜粋)
China, Asia Bulk Up Economy Defenses Against Virus Ahead of G-20 (抜粋)