ロシアのミシュスチン首相=3日、モスクワ(AFP時事)
ロシアのミシュスチン首相=3日、モスクワ(AFP時事)

 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領が起用したミシュスチン首相が就任してから16日で1カ月となる。ロシアは欧米の制裁などで経済が停滞。ミシュスチン氏はプーチン氏が経済回復のカギと位置付ける大型国家事業を着実に遂行する姿勢をアピールし、手堅い政府運営を行っている。

 ミシュスチン氏が中心となって取り組むのが大型国家事業「ナショナルプロジェクト」。インフラ整備や教育、保健、人口増加、デジタル経済など13分野で2024年までに官民で約26兆ルーブル(約45兆円)を投じる。18年に通算4期目に入ったプーチン氏が景気浮揚のために打ち出した目玉施策だ。

 しかし、メドベージェフ前内閣では実施の遅れが目立った。19年のロシアの国内総生産(GDP)速報値は前年比1.3%増と、伸び率は18年の2.5%増から鈍化した。国家事業の実現の遅れがメドベージェフ前内閣の総辞職の引き金になったとみられている。

 こうした事情もあり、ミシュスチン氏は1月末の閣議で、国家事業に関して「遅れや失敗があってはならない」と強調。「(事業を)最高の水準で実現しなければならない。国民が期待している」とハッパを掛けた。

 連邦税務局長官時代に納税電子化を推進したミシュスチン氏は、IT技術に詳しい。国家事業の進捗(しんちょく)状況をオンラインで監視するシステムの構築を提案するなど独自色も出しつつある。

 独立系世論調査機関レバダ・センターの調査によると、ミシュスチン氏の支持率は48%で、不支持率は37%。メドベージェフ前首相は最終的には支持(38%)より不支持(61%)が上回っていたので、首相交代は今のところ好意的に受け止められているようだ。