[ワシントン 28日 ロイター] – 米商務省が28日発表した1月の個人消費支出(季節調整済み)は、前月比0.2%増と、市場予想の0.3%増を下回り、前月から減速した。新型コロナウイルスが急速に拡大する中で一段と鈍化する可能性がある。新型ウイルスによって株式相場は急落し、景気後退懸念が浮上している。
個人消費は米経済の3分の2以上を占める。1月は例年より温かく、暖房や衣料品の需要が弱かった。2019年12月の個人消費は当初発表の0.3%増から0.4%増へ上方改定された。
オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当シニアエコノミスト、Lydia Boussour氏は「2019年はほぼ1年を通して米経済は個人消費で世界的な向かい風から守られた。ただ米国の消費も新型ウイルスの感染拡大に対する免疫はない」と指摘。「金融情勢のひっ迫を踏まえると、インフレ率が根強く低水準にとどまっていることが連邦準備理事会(FRB)が3月にも利下げに踏み切る論拠となる」と述べた。
米国の主要な株式指数は前日、調整局面入りした。米10年債利回りは過去最低水準へ低下。金融市場は、新型ウイルスが11年目に入った米景気拡大にリスクとなり得るとみている。新型ウイルスによる死亡者数は2000人を超え、感染者数は少なくとも8万人になっている。被害は中国が中心だ。
金利先物市場が織り込む米連邦準備理事会(FRB)の利下げ確率は上昇した。FRBは19年に3回利下げした。20年は少なくとも年末まで金利を据え置く姿勢だったが、新型ウイルスのリスクが課題となる可能性がある。
個人消費が低調となる中、物価上昇圧力も落ち着き、個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.1%上昇となった。エネルギー製品とサービスが0.7%下落し、食品の0.3%の値上がりを相殺した。12月のPCE価格指数は0.3%上昇だった。
1月は前年同月比で1.7%上昇と、18年12月以来の大幅な伸びだった。19年の弱い物価圧力が計算から外れたことを反映した。19年12月は1.5%上昇していた。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は前月比0.1%上昇。12月は0.2%上昇していた。1月は前年同月比で1.6%上昇と、12月の1.5%上昇から加速した。
PCEコアの前年同月比はFRBが物価の目安としている。19年は1月から12月までFRBの物価上昇率目標である2%を下回った。
1月のインフレ調整後の実質消費支出は0.1%増。12月も0.1%増加していた。個人消費は19年の第4・四半期に急減速した後、20年第1・四半期は出足が鈍っている。
前日発表された19年第4・四半期国内総生産(GDP)改定値は個人消費が1.7%増と、第3・四半期の好調な3.2%増から減速した。第4・四半期GDPは2.1%増だった。第3・四半期も2.1%増だった。
1月は個人消費支出が緩慢な伸びにとどまったものの、個人消費の基礎的条件は底堅さを保っている。1月の個人所得は0.6%増と、19年2月以来の大幅な伸びだった。19年12月は0.1%増加していた。1月は、社会保障制度の給付金受給者に関する生活費の年次調整が押し上げ要因だった。
賃金は0.5%増。12月は0.1%増加していた。所得が個人消費の伸びを上回ったことで貯蓄は1兆3300億ドルと、19年3月以来の高水準となった。12月は1兆2600億ドルだった。