[6日 ロイター] – 米労働省が6日発表した2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から27万3000人増と好調なペースを維持し、米経済の大きな押し上げ要因となった。市場予想は17万5000人増だった。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●嵐の前の静けさ、新型肺炎が娯楽・宿泊など直撃も <アメリプライズ・フィナンシャル・サービセズ(ミシガン州)の主任エコノミスト、ラッセル・プライス氏> 今回の統計内容は嵐の前の静けさに似ている。建設業がしっかりしているのは暖冬の影響と考えられる。全体的に新型コロナウイルスの感染拡大を前に経済の底堅さやファンダメンタルズ(基礎的条件)による下支えが確認されたことは評価できる。
 サービス業は全般的に非常に良好で、娯楽・宿泊や教育・ヘルスケアが堅調だった。ヘルスケアは今後も好調が見込まれる一方、娯楽・宿泊や教育は落ち込む可能性が高いと予想される。 

●市場は未知のことに神経質、輸送業を懸念 <TDアメリトレード(シカゴ)の首席市場ストラテジスト、JJ・キナハン氏> 新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、極めて堅調だったことが分かったのは良かった。内容が良好だったことで債券市場はプラスの反応を示した。
 ヘルスケア業は今回の統計では底堅かった。レジャー・娯楽業も伸びたが、3月の雇用統計で同様の伸びは明らかに望めない。小売業は減少したが、これは予想通りだった。懸念しているのは輸送業だ。輸送業がかなりの痛手を受けているのは周知の事実だ。
 今回の統計を見て、現状が明らかになって良かったと考えることにどれほどの意味があるのかは分からない。市場はまだ分かっていないことに対し神経質になっている。 

●次回統計でもレイオフの影響ない公算 <連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(ワシントンDC)の首席エコノミスト、ダグ・ダンカン氏>今回の雇用統計には悪いものは何も見当たらない。上方修正は予想外で、かなり大きかった。新型コロナウイルスの感染が拡大するまで労働市場が力強かったことが示された。
 従業員を解雇し、その後に再び雇用するには費用がかかるため、次回の雇用統計でもレイオフの増加は見られない可能性がある。現時点ではレジャー・娯楽産業に対する影響はまだ出ていない。