[ブリュッセル 10日 ロイター] – 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は10日、新型コロナウイルスによって引き起こされる経済危機に対応するために、既存財源から250億ユーロ(280億ドル)を拠出してEU基金を設立すると発表した。 

フォンデアライエン委員長はEU首脳との緊急ビデオ会議後の記者会見で、基金設立に向け75億ユーロのEU資金の活用を今週議会に提案すると述べた。 

当局者によると、現在のEU予算の下で加盟国の承認をすでに得ているEU構造基金を加えることにより合計で250億ユーロに達するという。 

フォンデアライエン委員長は、資金が今後数週間以内に医療システム、中小企業、労働市場などに活用されるとした。 

これに先立ち、欧州委員会は同日、新型コロナウイルスの打撃を被っている企業に対する補償措置を検討する用意があり、とりわけ流行が深刻なイタリアに追加支援を実施する可能性があるとの認識を示した。 

ベステアー委員(競争政策担当)は「欧州委は企業が被った新型コロナの影響を補償する支援措置の可能性を巡り協議している」と語った。 

さらに「イタリア経済に対する深刻な混乱への救済策として必要となる可能性のある追加措置を巡り、イタリアと連携する用意がある」と言明した。 

ドムブロフスキス副委員長も「われわれが利用可能な全ての措置や方法で、イタリアを支える」と表明した。 

欧州委の試算によると、新型コロナの影響で、イタリアとフランスは第1・四半期にテクニカルなリセッション(2四半期連続のマイナス成長)に陥る可能性がある。