[ロンドン 11日 ロイター] – スナク英財務相は11日、新型コロナウイルス感染拡大による景気後退リスク阻止に向け、300億ポンド(390億ドル)規模の景気刺激策を盛り込んだ新年度予算を発表した。刺激策の規模は1992年以来最大となる。
イングランド銀行(英中央銀行)もこの日緊急利下げに踏み切っており、政府と中銀が歩調を合わせ財政・金融両面で危機対応に臨む。
スナク財務相は、英経済が一時的ながら新型コロナによる「著しい打撃」を被っていると強調。「労働人口の最大5分の1に仕事を休む必要が出る可能性がある。企業のサプライチェーンも世界的に混乱している」とし、「景気支援に向けあらゆる措置を講じる」と言明した。
企業及び自営業者の税金納付の延期や従業員の病欠手当の原資支援など、キャッシュフローの縮小に直面する企業に対する支援策を打ち出すほか、医療制度や公共サービスに追加で50億ポンドを拠出する。
また、今後5年間の公共投資は6000億ポンド超と、1955年以降で最高水準に引き上げる。
英予算責任庁は予算案について、新型コロナによる景気鈍化を考慮に入れないとしても、2021/22年度の国内総生産(GDP)比の財政赤字が従来予想の1.6%から約3%に拡大すると指摘。「コロナウイルス拡大が広範な経済混乱につながれば、景気後退(リセッション)の可能性が高い」と述べた。
英保険省によると、国内で確認された新型コロナ感染は456人と、前日の373人から増加した。死者は2人増えて8人になった。
英中銀は同日、政策金利を0.75%から0.25%に引き下げたと発表。英中銀の緊急利下げは2008年の金融危機以来初めて。銀行のカウンターシクリカル資本バッファー比率を1%からゼロ%に引き下げたほか、小規模企業向けに新たな資金調達スキームも導入した。