愛知県蒲郡市の男性(57)が、新型コロナウイルス感染を知り、自宅待機を求められながら複数の飲食店を利用していたことが12日、関係者への取材で分かった。男性は「菌をばらまく」などと話し、立ち寄った飲食店の従業員1人の感染が同日判明した。飲食店は店内を消毒し、営業自粛に追い込まれており、事態を重く見た県警は、威力業務妨害容疑などを視野に捜査を進める方針。
同市や関係者によると、男性は4日夕、検査でウイルス陽性が判明し、保健所が自宅待機を要請したのに外出。午後6時前後、市内の居酒屋とパブの2店に立ち寄った。パブでは従業員の女性と密着し、肩を組んで歌うなどしたという。
その際、パブ店主は知人から「男性が『パチンコ店や飲食店で菌をばらまいてやる』と言っている」と連絡を受け、男性が従業員に「陽性だ」と認めたため、約30分で退店させた。男性は同居の両親から感染したとみられ、5日から入院している。
一方、パブ従業員で30代のフィリピン人女性のウイルス陽性が12日確認され、同県豊田市によると、医療機関に入院予定。女性は、男性に接客した従業員とは別だが、店内に居合わせていた。
パブ店主は取材に対し「迷惑で被害届を出す」と話している。