妊婦への新型コロナウイルスの感染を防ぐ対策として、厚生労働省は今月中旬以降、洗濯して繰り返し使える布マスクを出産するまでの間、妊婦1人に月2枚ずつ配ることにした。母子健康手帳の交付時や保健センターでの面談時に手渡しするほか、郵送などで行き届くようにするという。
同省が1日、妊婦向けの対策をまとめた。妊婦が感染者と濃厚接触した場合などは、妊婦健診の受診前にかかりつけの産科医療機関に電話で相談するよう求める。帰国者・接触者相談センターに相談するタイミングは、高齢者と同様、風邪の症状や37・5度以上の発熱が2日程度続いた場合、とした。妊産婦の感染を防ぐため、新型コロナウイルス患者を診ない医療機関を設定することも各都道府県に要請した。
経済団体や労働団体に対し、妊娠中の労働者に対する配慮を要請したほか、正社員以外の働き方の人を含め、妊婦が休みやすい職場環境の整備、テレワークや時差通勤の活用を求めた。
現時点では、妊娠後期に新型コロナウイルスに感染しても、妊娠していない人と経過や重症度は変わらないとされる。胎児の異常や死産、流産を起こしやすいという報告もなく、厚労省は「過度な心配はいらない」とするが、一般的に妊婦が肺炎にかかった場合は重症化する可能性がある。(田中瞳子)