• 感染流行初期の武漢、1人が平均5.7人にうつした公算大
  • 感染封じ込めには人口の8割強に免疫が必要-ロスアラモス研究所

新型コロナウイルスが中国で感染を拡大させたペースは、これまで考えられていたよりもはるかに速かったと、米国の調査チームが指摘した。パンデミック(世界的な大流行)に終止符を打つには、ワクチンか抗体の極めて大規模な普及が必要になることを示唆する。

  米ロスアラモス国立研究所の数理分析によると、感染流行初期の武漢では1人の感染者が平均5.7人にうつした公算が大きいという。これは世界保健機関(WHO)など公衆衛生当局が2月に報告した割合の2倍以上だ。

  同研究所の分析は中国での感染拡大に絞っているが、これが世界の他地域にも当てはまる場合、一部の当局が想定したよりもパンデミック封じ込めはいっそう難しい可能性がある。

  1人が平均5.7人にうつすという速度は、感染拡大を阻止するためにはワクチンの接種かすでに罹患(りかん)して抗体を持っているかなどを通じて、人口の82%程度がもはや感染しない状態となっている必要があることを意味すると、同研究所は説明する。このような保護がない場合、感染者5人のうち1人以上が診断されないままでいる限り、厳格な社会的距離政策の維持が必要になるという。

原題:Virus May Spread Twice as Fast as Earlier Thought, Study Says(抜粋)