ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(三尾郁恵撮影)
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(三尾郁恵撮影)

 ソフトバンクグループ(SBG)は13日、令和2年3月期の連結営業損益が1兆3500億円の赤字(前期は2兆3539億円の黒字)となる見通しを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で、株式相場が総崩れになったことを受け、ファンド事業で約1兆8千億円にのぼる巨額の投資損失を計上することなどを織り込んだ。

 2年3月期の売上高は前期比36・0%減の6兆1500億円、最終損益は7500億円の赤字(同1兆4111億円の黒字)となる見通しだ。

 SBGは運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」を通じ、AI(人工知能)関連の成長企業80社超に投資するが、投資先の企業価値が下がれば、その差分がSBGの営業損益を押し下げることになる。

 巨額の赤字は、コロナ禍による世界の株式市場悪化がSBGの業績に直撃した格好だ。ライドシェア大手の米ウーバー・テクノロジーズなどの上場株が下落したほか、非上場企業の企業価値見直しも余儀なくされた。

 さらに、SVF以外の投資でも約8千億円の営業外損失を計上する見込み。SBG本体が資金を投じるシェアオフィス大手の米ウィーカンパニーの経営不振や、衛星通信を手がける英スタートアップのワンウェブが経営破綻した影響を受ける。

 SBGは今や、SVFを事業主体とする投資会社だ。投資先の含み益の拡大を牽引(けんいん)役としてこれまで好業績をあげてきたが、一旦成長に逆回転がかかると損失が膨らむリスクが大きい。新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界に広がる投資先の企業価値の目減りや経営難が今後も続けば、SBGの経営が揺らぐ懸念もある。