[ニューヨーク 15日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが上昇した。軟調な米経済指標を受け、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への悪影響が長引くとの懸念が高まり、ドルなどの安全資産に資金が流入した。
前日まで4日連続で下落していたドル指数=USDはこの日、反発し一時99.98に上昇。ただ上げ幅を縮小し、終盤は0.71%高となった。安全資産である米国債も買われ、利回りが低下した。
ドルは他の安全通貨に対しても上昇。対円JPY=では0.31%高、対スイスフランCHF=では0.47%高となった。
米商務省が15日発表した3月の小売売上高は前月比8.7%減と、調査を開始した1992年以来の大幅なマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため事業閉鎖が強制される中、広範なモノの需要が抑制された。市場予想は8.0%減だった。
米ニューヨーク連銀が15日公表した4月の同州製造業業況指数は前月から56.7ポイント低下のマイナス78.2と、過去最低を記録した。新型コロナウイルスの感染拡大が製造業を直撃した。予想はマイナス35だった。
アクション・エコノミクスのアナリストはリポートで、国際通貨基金(IMF)が前日発表した世界経済見通しの予想を上回る下方修正に加え、米小売売上高など経済指標の大幅な落ち込みが合わさり、「安全資産であるドルに資金がなだれ込んでいる」とした。
IMFは14日、最新の世界経済見通しを発表し、2020年の世界の成長率が3.0%落ち込むとの見通しを示した。新型コロナウイルスによって経済活動が停滞し、1930年代の大恐慌以来で最悪の景気後退になるとの見方だ。
原油価格の下落もノルウェークローネやカナダドルなど産油国通貨の重しとなった。
ノルウェークローネNOK=は対ドルで約2%安。カナダドルCAD=は対米ドルで1.5%超下落した。
カナダ銀行(中央銀行)は15日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%に据え置くと同時に、債券買い入れ対象の拡大を決定した。新型コロナウイルス感染拡大でカナダ経済の短期的な悪化は過去最悪になると警告し、先行き不透明性の高まりを理由に経済見通しの公表を一時的に取りやめた。同時に、経済活動の早期再開は依然として可能との見方を示した。
ドル/円
NY終値 107.47/107.50
始値 107.34
高値 107.84
安値 107.26
ユーロ/ドル
NY終値 1.0907/1.0911
始値 1.0906
高値 1.0939
安値 1.0858