米連邦準備制度理事会(FRB)が15日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、新型コロナウイルス感染が全米に拡大する中、米経済は萎縮した状態に入った。
ベージュブックは「新型コロナ感染症(COVID19)のパンデミック(世界的大流行)の結果、経済活動は米国の全ての地域において急激かつ突如として縮小した」と記述。「全ての地区連銀は、聞き取りに応じた企業の見通しがかなり不透明であるとし、その大半が今後数カ月の間に状況が悪化するとの見通しを示したと報告した」という。今回のベージュブックは6日までに12地区連銀が集めた情報を基にボストン連銀が作成した。
新型コロナ感染拡大を抑制する取り組みとして、大半の州政府が住民に外出自粛を要請、3月は全土で企業の操業停止が相次いだ。フィラデルフィア連銀の管轄地区では4分の1の企業が操業を停止。同連銀は「難を逃れたセクターはなかった」と報告した。
ベージュブックによると、最も打撃を受けたのは娯楽・観光に加え、生活必需品以外の小売り産業だった。一方、食料品や医療製品には強い需要があり、その生産や供給には混乱が生じたという。
全ての地区連銀が雇用の減少を報告。その多くは広範囲に及んでいると指摘した。厳しい隔離政策により、膨大な数の労働者が失業に追い込まれ、第2四半期(4-6月)の経済成長は年率25%の縮小が予想されている。賃金の上昇圧力を報告した連銀地区はなかった。
さらに「いくつかの地区の企業は一時的なレイオフや自宅待機を通じて雇用を削減し、事業活動が復活すれば反転させられると期待していることを明らかにした」と説明。「今後数カ月の短期的な見通しは、一段の人員削減だった」という。
物価については、伸びの減速あるいは横ばい、緩慢ないし緩やかな低下が報告された。一部の地域ではウイルス関連の需要が拡大し、物価が上昇した。
ベージュブックは「サプライチェーンの混乱と需要構成のシフトにより、運輸などの基本的サービスや一部の農産物、消費財の価格が大幅に上昇した」と報告した。
ニューヨーク連銀の管轄地区では、一部の金融機関が特に住宅ローンの返済に対して寛大な方針を採用している。
連邦公開市場委員会(FOMC)の次回定例会合は4月28-29日。
原題:Fed Says Economy Contracted Sharply With Virus Sweeping U.S. (1)(抜粋)