【ワシントン時事】米大統領選の民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領(77)の副大統領候補選びが本格化している。女性の起用を明言し、既に人種や思想の異なる多くの候補が意欲を表明。新型コロナウイルスの影響で運動がままならないバイデン氏にとって誰を選ぶかは有権者への重要なメッセージとなり、トランプ大統領との戦いに影響しそうだ。
民主党を左傾化させた「サンダース」撤退で候補確定「バイデン」の「課題」
「可能なら米国(の今)を映すような政権にしたい」。バイデン氏は16日のテレビ番組でこう述べ、人選で多様性を重視する考えを示した。近く委員会を立ち上げ、経歴審査を正式に始める。
有力視されるのが、指名を争ったハリス上院議員(55)だ。黒人の父とインド系の母を持ち、州司法長官などを務めた経歴から、バイデン氏も「いつか大統領になる」と太鼓判を押す。ただ、指名争いで医療保険など重要政策のスタンスが定まらず、「日和見」との批判を浴びた。
前回大統領選では黒人の9割近くが民主党のクリントン元国務長官に投票しており、非白人の投票率増加が勝敗に与える影響は大きい。2年前のジョージア州知事選で初の黒人女性知事を目指したエイブラムス氏(46)が「私なら素晴らしい副大統領になる」と自薦するほか、ラテン系のコルテズマスト上院議員(56)もバイデン氏が候補に挙げている。
イデオロギー的な多様性を求めるなら、筆頭は左派ウォーレン上院議員(70)だ。同氏は15日、副大統領候補の要請があれば「受ける」と明言。女性に人気が高く、リベラル層の支持拡大が期待できる。ただ、指名争いでは同じ左派のサンダース上院議員と衝突し、自らの撤退後も支持しなかったことから、「サンダース派」の受けは必ずしも良くない。
大統領選のかぎを握る中西部では、穏健な民主党支持者や無党派層へのアピールが重要になる。このため中道派のクロブシャー上院議員(59)も有力候補の一人。新型ウイルスへの対応で注目が集まるウィットマー・ミシガン州知事(48)も名前が挙がる。