【ワシントン時事】米中西部ミシガン州などで、民主党の知事が新型コロナウイルスの感染拡大防止策として導入した外出禁止措置への抗議行動が起きている。11月の大統領選をにらみ早期の「経済再開」を掲げるトランプ大統領は抗議行動に同調し、ウイルス対策をめぐる対立が政争の色合いを強めつつある。
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感染者が急増しているミシガン州では15日、食料品店などを除く店の営業中止や不要不急の外出を禁じたウィットマー知事に抗議し、数千人が車に乗ったままデモを展開。「知事を収監しろ」などと気勢を上げた。共和党寄りの保守系政治団体が組織したもので、米メディアによると、南部バージニア州などでも同様のデモが発生した。
トランプ氏は17日、ツイッターにミシガン、バージニア、中西部ミネソタの3州を挙げて「解放せよ」と投稿。同日の記者会見では「幾つかの州では(経済活動の制限が)厳しすぎる」と述べ、抗議行動に肩入れする姿勢を示した。
ウィットマー氏は、大統領選で民主党候補の座を確実にしたバイデン前副大統領の副大統領候補にも取り沙汰される有力女性政治家。トランプ氏が挙げた3州の知事はいずれも民主党だが、同党と共和党の支持が伯仲する「スイング・ステート(揺れる州)」と位置付けられている。
トランプ氏は16日、ウイルス対策が景気に深刻な影響を及ぼしている事態を受け、州当局が経済再開を進めるための指針を公表した。デモへの肩入れには、経済活動の規制緩和を後押しするとともに、大統領選でカギを握る重要州で「反民主党」世論を喚起する思惑も見え隠れする。
テキサス、バーモント両州などでは、共和党の知事がトランプ氏に呼応する形で経済再開の方針を表明。本来は党派とは無関係なウイルス対策が、政治対立を助長しつつある。