[ワシントン 1日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は新型コロナウイルス感染拡大に対応するため、これまでに緊急利下げや無制限の量的緩和(QE)など数々の対策を打ち出してきたが、ここに来てFRB当局者の間から、流行終息後の景気回復にうまく対応しなければ、労働力および生産性に長期的な影響が及ぶとの懸念が示されている。 

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁、ダラス地区連銀のカプラン総裁、セントルイス地区連銀のブラード総裁は1日、これまでに打ち出された数々の積極的な措置は経済の正常化に必要な対策の第一歩に過ぎず、感染拡大終息後に労働者の新たな技能取得に向けた支援や安全網の拡充などの措置が必要になるとの考えを示した。 

バーキン総裁はメリーランド州商工会議所のテレビ会議で、感染拡大抑制策により企業の操業効率が落ちている可能性があるほか、信頼感の低下で企業投資が損なわれ、子供の世話や高齢者の介護などで再び働き始めることが難しくなる労働者が出る可能性もあるとし、危機終息後の経済回復の度合いを推し量る必要があると指摘。「いつかはいくらか正常な状態に戻るかもしれないが、全てが終息した後に経済がどの程度力強くなっているか懸念している」と述べた。 

カプラン総裁はFOXビジネスネットワークとのインタビューに対し、失業率が最大20%まで上昇し、年末時点では8─10%で推移する可能性があることを考慮すると、米経済が新型コロナウイルス危機を乗り越えるためにFRBには引き続き支援すべきことがあると指摘。「年内および来年にかけて刺激策が必要になる。刺激策が講じられれば、成長を早め、失業率を低下させることが可能だ。FRBの役割は市場の適切な機能を確保しつつ、最後の貸し手になることだ」と述べた。 

ブラード総裁は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに対し、感染拡大抑制策が維持される期間が長過ぎた場合と、経済活動再開がうまく対応されなかった場合の双方について懸念していると表明。「向こう数カ月に適切に対応されなかった場合、景気後退リスクに直面する」とし、経済活動再開は「一段ときめ細かく、かつ一段のリスクを認識した上で」進めていく必要があるとした。同時に「経済活動の停止が長引けば問題が拡大し、企業破綻が増大する恐れがある」との懸念を示した。