[ワシントン 12日 ロイター] – 米政権の新型コロナウイルス対策チームの一翼を担う米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は12日、上院委員会の公聴会で議会証言し、ロックダウン(都市封鎖)措置の解除を急げば、新型コロナ感染の第2波を招くリスクがあると警鐘を鳴らした。 

ファウチ所長はビデオを通じた証言で、ウイルス封じ込めで「われわれは正しい方向に向かっているが、感染を完全に制御したわけではない」と強調。各州は保健専門家の提言に従い、新規感染者数の減少など、感染状況が終息に向かっている兆候を確認するまで経済再開を待つべきと言明した。 

トランプ大統領は経済再開に向け、各州にロックダウン措置解除を促しており、両者の見解のずれが浮き彫りとなった。 

米国内の複数州がすでに経済再開に向けた制限緩和に動く中、ファウチ氏は「制御不可能となる恐れのある感染を引き起こす現実的なリスクが存在し、不必要な苦しみや死を招くだけでなく、かえって景気回復を遅らせる可能性もある」と警告した。 

米製薬ギリアド(GILD.O)の新型コロナ感染症治験薬「レムデシビル」については、入院患者を対象とした臨床試験はなお「控えめ」な結果にとどまっているとの認識を示した。 

米国での新型コロナ感染者は130万人超、死者は8万0600人に上る。