奈良県立医科大学(同県橿原市)などは15日、新型コロナウイルスがオゾンガスによって無害化することを世界で初めて確認したと発表した。将来的に病棟や診察室での活用が期待できるという。
今回の実験では、密閉された容器の中で新型コロナウイルスに規定の濃度のオゾンガスを約1時間噴霧。その結果、感染力を持ったウイルスが最大で1万分の1にまで減少することが確認された。今後は病室などの臨床現場に近い環境で、効果があるかどうか検証する必要があるという。
オゾンガスはすでにノロウイルスや重症急性呼吸器症候群(SARS)に効果があることが確認されており、医療現場や救急車に発生機が導入されている。同大感染症センターの笠原敬センター長は「オゾンガスは生成に原材料がいらず、残留毒性もないので現場にもメリットはある」と説明。一方で「消毒はアルコールなどによるふき取りが基本で、オゾンガスはあくまで補助的に使うもの。それだけで消毒が完了するわけではない」と強調した。