[ワシントン 15日 ロイター] – 米商務省は15日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への半導体輸出規制を強化すると明らかにした。輸出規則を変更し、すでに禁輸措置対象に指定されている同社が米国の技術やソフトを利用した半導体を間接的に取得できないようにする。 

ファーウェイへの輸出規制を巡っては、保守など一部取引に関して猶予が認められている。商務省はこの猶予期間について、さらに90日間延長するとともに、延長はこれが最後になると表明した。 

これに対し、中国はすぐさま反応。中国共産党系メディアの環球時報は、中国がアップル(AAPL.O)、シスコシステムズ(CSCO.O)、クアルコム(QCOM.O)、ボーイング(BA.N)を含む米国企業を「信頼できない実体リスト」に加える用意があると報じた。 

ロス商務長官はFOXビジネス・ネットワークとのインタビューで、ファーウェイが外国企業との取引を抜け穴にして、実際に米国の技術を利用しているとした上で、今回の決定は「こうした抜け穴を封じる」狙いがあると強調した。 

ある商務省の高官は今回の措置が「米国第一主義」の推進につながると指摘。中国の報復については「様子を見る必要がある」とした。 

ファーウェイからのコメントは得られていない。 

ファーウェイへの規制強化は、同社に製品供給する台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW)にとっても打撃となる恐れがある。TSMCは15日、米政府との「強力なパートナーシップ」によりアリゾナ州に総工費120億ドルの半導体工場を建設すると発表したばかり。TSMCは「外部の専門家を交え法律面で分析し、当該規則の包括的な解釈に努める」と述べた。 

ワシントンの弁護士で元商務次官補のケビン・ウルフ氏は、ファーウェイに対する輸出規制強化は「新しくかつ複雑」だが、同社以外の企業が設計し、米国の技術を利用して製造された半導体なら、許可要件がなくても引き続きファーウェイへの売却が可能になると指摘した。 

ある国務省の高官は「今回のポイントは許可要件にあり、ファーウェイへの半導体供給を頭ごなしに拒否するものではない」とした上で、申請ごとに内容が審査されることから同社への出荷を巡る透明性は高まるとの見方を示した。