【ワシントン時事】米商務省が中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する輸出禁止措置の強化を発表したのを受け、ロス商務長官は15日、「経営に多大な影響を及ぼす」と強調、同社への監視の徹底を表明した。次世代通信規格「5G」の普及が進む中、今回の制裁強化が同社に打撃となるのは必至。新型コロナウイルスをめぐる中国への不信感が米国で高まる中、両国のハイテク覇権争いにも拍車がかかった形だ。

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 米商務省は同日、米国製の製造装置や技術を使って海外で生産・開発された半導体製品について、ファーウェイへの販売を制限すると発表。昨年5月には、安全保障を理由に米国企業からの製品輸出を事実上禁じる海外企業リストに同社を追加していた。現在、外国製の半導体製品は一定条件を満たせば許可なしで販売できる。だが今後は、ファーウェイと同社子会社「海思半導体(ハイシリコン)」に輸出することが禁じられる。発効までの猶予期間は120日間。

 ファーウェイは日本企業ではソニーやTDKなどから半導体の供給を受けており、子会社のハイシリコンは受託製造世界最大手TSMC(台湾積体電路製造)に多くを依存する。TSMCは15日に米アリゾナ州での工場新設を発表したばかり。しかし、制裁強化でいずれも供給が難しくなる可能性がある。