- 良識のある人なら香港に自治があると断言できない-ポンペオ長官
- 貿易関税導入や政府幹部への査証制限など、可能性が生じる
香港では中国からの政治的な自治がもはや維持されていないと、米国は判断した。ポンペオ米国務長官が明らかにした。香港にはこれまで米国との貿易で特別待遇が認められてきたが、これが大きく変わる可能性がある。
ポンペオ氏は27日の声明で、「現地で起きている事実を考えれば、良識のある人なら誰も、香港が中国から高度な自治を維持しているとは断言できない」と主張した。
中国は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、香港市民の権利と自由を制限する「国家安全法」を制定する準備を進めている。
この判断によって米政府には、政府高官に対する査証発給制限や資産凍結、香港からの輸入品への関税導入など幅広い手段をとる可能性が生まれる。
ポンペオ氏は「中国共産党が香港に約束した自治の否定を重ねる中で、苦しむ香港の人々を米国は支持する」と述べた。
中国は、米国が香港に制裁を科したり、内政に干渉したりした場合は報復措置を講じると警告している。中国外務省の趙立堅報道官は27日の記者会見で、「中国の利益を害することを主張する者がいれば、われわれは断固として必要なあらゆる対抗措置を講じる」とした上で、「香港の国家安全法は純然たる中国の内政問題であり、外国の干渉は許されない」と述べた。
米財務省の元中国専門家で現在はロサンゼルスの資産運用会社TCWグループでアナリストを務めるデービッド・ロービンガー氏は、トランプ政権は香港への制裁を恐らく金融制裁と中国高官への査証発給制限に限定し、関税や輸出規制、投資制限については国家安全法を巡る状況がより明確になるまで踏み込まないだろうと分析。
「米政権は、香港の人々への攻撃と受け取られないようにしながら、国家安全法を支持する中国本土と香港の当局者を罰するという難事を成し遂げなければならない」と指摘した。
原題:U.S. Says Hong Kong’s China Autonomy is Gone, Sowing Trade Doubt(抜粋)