[サンフランシスコ 28日 ロイター] – 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は28日、米経済は底入れした公算が大きいとの認識を示しながらも、経済が健全に回復するかは、新型コロナウイルス感染拡大前と同じように人々が安心して旅行や外食に出掛けられるよう、大規模な新型ウイルス検査を実施できるかにかかっていると述べた。
カプラン総裁はロイターの電話インタビューに対し、「経済成長を加速させ、失業率を引き下げるために、新型ウイルス検査と感染経路の調査を大幅に増強する必要がある」と述べた。
こうしたことを全国的に実施しても、議会がすでに承認した約3兆ドルの新型ウイルス対策のほんのわずかな費用しかかからないとし、新型ウイルス検査の実施拡大や働く人のための財政支援のほか、税収減に苦しむ州政府や市などへの支援を行うことで、米経済は第3、第4・四半期に約17%の成長を実現できる可能性があると語った。
ただこうした回復が実現したとしても、年末時点の米経済は年初と比べて約4.5%縮小し、失業率は最悪時の20%を超える水準からは低下するものの、それでも10─11%にとどまると予想。来年も成長は継続するとみられることから、失業率は来年末には7%を下回るとしながらも、新型ウイルス検査に資金を投じなければ下方リスクは増大するとの考えを示した。
このほか、新型ウイルス感染拡大に起因する原油の供給過多は2021年に入っても解消されないと予想。「経済成長によるが、在庫が世界的に過剰な状態は来年下半期まで解消しない恐れがある」とし、「成長が一段と鈍化すれば、22年まで解消しない」と述べた。