日本政府が韓国向けの半導体の原材料などの輸出管理を厳しくした措置に反発して、韓国政府がWTO=世界貿易機関に提訴したことを受けて、WTOは29日、裁判所にあたる小委員会を設置するか議論しました。日本はこれに同意せず、この日は設置が見送られましたが、次の会合で韓国が改めて求めれば審理に入ることが決まる見通しです。
日本が去年7月から韓国向けの半導体の原材料など3品目の輸出管理を厳しくした措置をめぐって対立する日韓両政府は、解決に向けて協議を行ってきましたが、主張の隔たりは大きく、韓国は今月18日、貿易紛争の解決を担うWTOに提訴しました。
これを受けてWTOの加盟国は29日に開かれた会合で、裁判所にあたる小委員会の設置を認めるか議論しました。
提訴に当たって韓国側は、日本の措置は国際的な貿易ルールに違反していると主張しています。
これに対し日本側は会合で、WTO加盟国に認められた軍事転用を防ぐ措置であり、用途が民間向けと確認された輸出は許可していると説明したうえで、対話によって解決が図られるべきだとして同意しませんでした。
その結果、この日の会合では小委員会の設置は見送られました。
ただWTOの規定では次の会合で韓国が改めて設置を求め、すべての加盟国が反対しないかぎり、承認されることになっています。
このため7月の会合で小委員会の設置が決まり、日韓の対立は国際機関で審理されることになる見通しです。